継体天皇と王統の危機

第 4 章

継体天皇と王統の危機けいたいてんのう

血筋が絶えかけたとき、遠い国から新たな帝が招かれる。

◀ 人代編 下巻 へもどる
この物語は、原文を読みやすく現代語にしたかなり“はしょった”要約・脚色版です。細部や表現は正確な原文・訳注書と異なる場合があります。

雄略天皇のあと、清寧(セイネイ)、顕宗(ケンゾウ)、仁賢(ニンケン)、武烈(ブレツ)と代が続きます。しかしこの間、皇統は急速に細っていきました。

清寧天皇には御子がなく、後継者が見つかりませんでした。そこで探し出されたのが、雄略天皇に父を殺され、播磨(今の兵庫)に身を隠して馬飼い・牛飼いとして暮らしていた二人の兄弟です。宴席で身分を明かした二人は迎えられ、弟が顕宗天皇、兄が仁賢天皇として相次いで即位しました。

馬飼いとして隠れて
馬飼いとして隠れて

その次の第二十五代・武烈天皇ブレツテンノウにも、跡を継ぐ御子がありませんでした。ここに至って、神武天皇から続いてきた皇統は完全に途絶える危機を迎えます。

困り果てた群臣たちは、遠い血筋をたどりました。そして越前(今の福井)にいた、応神天皇の五世の孫にあたる袁本杼命オホドノミコトを探し出し、都へ迎え入れます。これが第二十六代・継体天皇ケイタイテンノウです。

跡継ぎなき玉座
跡継ぎなき玉座

五世の孫という血縁は、あまりにも遠いものでした。そのため近代以降の研究では、ここで実際には王朝が交代したのではないか、という説が有力に語られてきました。古代史における最大の論点のひとつです。

越前より迎えられて
越前より迎えられて

古事記はこの経緯について、系譜を淡々と記すのみで、政治的な事情には触れません。しかしその簡潔さの奥に、国の根幹を揺るがす大きな動きが横たわっていたことは想像に難くありません。

登場する人物・神々

武烈天皇
ブレツテンノウ
第二十五代天皇。跡継ぎがなく、皇統断絶の危機を招きました。
継体天皇/袁本杼命
ケイタイテンノウ/オホドノミコト
越前から迎えられた第二十六代天皇。応神天皇の五世の孫とされます。
顕宗天皇
ケンゾウテンノウ
身を隠して暮らしていたところを見出され、即位した天皇です。
仁賢天皇
ニンケンテンノウ
顕宗天皇の兄。弟に続いて即位しました。

豆知識・この物語の背景

継体天皇陵の候補
大阪府高槻市の今城塚(いましろづか)古墳が、継体天皇の真の陵墓であると考古学的に有力視されています。
王朝交替説
血縁の遠さ、即位後すぐに都へ入れなかったことなどから、新しい勢力による王朝交替とみる説があります。定説には至っていません。
この章をシェア✕LINEFacebook