欠史八代

第 2 章

欠史八代けっしはちだい

物語を持たぬ八人の天皇が、静かに世を継いでゆく。

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この物語は、原文を読みやすく現代語にしたかなり“はしょった”要約・脚色版です。細部や表現は正確な原文・訳注書と異なる場合があります。

初代・神武天皇が亡くなると、その後継をめぐって異母兄弟の間に争いが起こりました。皇子の一人が兄たちを討ち、第二代・綏靖天皇スイゼイテンノウとして即位します。ここから八代にわたる、静かな時代が始まります。

綏靖、安寧、懿徳、孝昭、孝安、孝霊、孝元、開化。この八人の天皇について、古事記が記すのはごくわずかです。どこに宮を営んだか、后は誰で、どのような御子が生まれたか、そして御陵はどこにあるか。淡々とした系譜の記録が続くばかりで、物語らしい逸話はほとんど登場しません。

八代の静かな治世
八代の静かな治世

後世の研究者はこの八代を「欠史八代ケッシハチダイ」と呼びました。伝えるべき物語が失われたのか、それとも記す必要がないと判断されたのか。あるいは、王統の連続性を示すために後から補われた世代なのか。実在性をめぐる議論は今も続いています。

系譜に残る名
系譜に残る名

ただし、この八代がまったく無意味というわけではありません。孝霊天皇の御子には、のちに崇神天皇の御代で四道将軍として活躍する人物や、桃太郎伝説のモデルともいわれる吉備津彦命(キビツヒコノミコト)が名を連ねています。血脈は静かに枝を広げ、次の時代の登場人物たちを準備していたのです。

次代への血脈
次代への血脈

華やかな挿話のない八代。それでも、この静かな時間を経てこそ、物語は次の大きな転換点である崇神天皇の御代へと進んでいきます。

登場する人物・神々

綏靖天皇
スイゼイテンノウ
第二代天皇。兄との争いを制して即位しました。
孝霊天皇
コウレイテンノウ
第七代天皇。その御子には吉備津彦命など、後の時代に活躍する人物がいます。
開化天皇
カイカテンノウ
第九代天皇。この次の崇神天皇から、再び物語が動き出します。
吉備津彦命
キビツヒコノミコト
孝霊天皇の御子。吉備を平定し、桃太郎伝説のモデルとも語られます。

豆知識・この物語の背景

なぜ「欠史」なのか
「欠史」とは歴史が欠けているという意味。江戸期以降の研究で名付けられ、実在を疑う説の根拠にもなりました。
桃太郎のモデル説
吉備津彦命が温羅(うら)という鬼を退治した伝説が、岡山に伝わる桃太郎の物語の原型といわれています。
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