崇神天皇と疫病

第 3 章

崇神天皇と疫病すじんてんのう

疫病に沈む国を、神の声が救い上げる。

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この物語は、原文を読みやすく現代語にしたかなり“はしょった”要約・脚色版です。細部や表現は正確な原文・訳注書と異なる場合があります。

第十代・崇神天皇スジンテンノウの御代、国じゅうに疫病が広がりました。人々は次々と倒れ、国民の半ばが失われるほどの惨状だったと古事記は伝えます。

天皇は神牀(かむとこ)に伏して神意を求めました。すると夢に大物主神オオモノヌシノカミが現れ、こう告げます。「この疫病は私の意志によるものだ。我が子孫である意富多多泥古オオタタネコを探し出し、私を祀らせよ。そうすれば災いは止み、国は安らかになるだろう」。

国を覆う疫病
国を覆う疫病

天皇はただちに人を遣わし、河内の美努村(みののむら)でオオタタネコを見つけ出しました。彼に三輪山の神を祀らせると、猛威をふるっていた疫病はぴたりと収まり、国は再び豊かさを取り戻します。

夢に立つ大物主神
夢に立つ大物主神

国が落ち着くと、天皇は四方に将軍を派遣しました。北陸へ大毘古命、東海へ建沼河別命、西道へ吉備津彦命、丹波へ日子坐王。のちに「四道将軍(シドウショウグン)」と呼ばれるこの遠征により、まつろわぬ地は次々と平定されていきます。

三輪山に祈る
三輪山に祈る

さらに天皇は、男には狩りの獲物を、女には織物を納めさせる制度を定めました。これが日本で初めての税とされます。宗教的な祭祀と、実務的な統治。その両輪を整えた功績から、崇神天皇は「御肇国天皇ハツクニシラススメラミコト」、すなわち初めて国を治めた天皇と称えられました。

登場する人物・神々

崇神天皇
スジンテンノウ
第十代天皇。疫病を鎮め、四道将軍を派遣し、税制を定めた「初国知らす天皇」。
大物主神
オオモノヌシノカミ
三輪山に鎮まる神。大国主神の和魂(にきみたま)ともされる強力な神です。
意富多多泥古
オオタタネコ
大物主神の子孫。三輪山の祭祀を担い、疫病を鎮めました。
四道将軍
シドウショウグン
四方へ派遣された四人の将軍。各地を平定しました。

豆知識・この物語の背景

大神神社と三輪山
奈良の大神(おおみわ)神社は本殿を持たず、三輪山そのものを御神体として拝みます。日本最古の神社のひとつとされます。
初国知らす天皇が二人?
神武天皇も崇神天皇も「ハツクニシラススメラミコト」と呼ばれます。このことから、実質的な初代は崇神天皇ではないかとする説もあります。
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